冷たいもので歯がしみる原因(虫歯以外)と対処法
咬耗(こうもう)・楔(くさび)状欠損・歯の薄さ・ひび割れなど
- 歯の痛み
2019-10-12
執筆:医療法人財団匡仁会・歯科医師 - 末光妙子
アイスキャンディーやかき氷などの冷たい食べ物を食べる時、脳天にキーンと響くあの刺激のほか、歯にしみることが怖くて躊躇なく食べられないという人は少なくありません。
「冷たいものがしみる(知覚過敏)」というと「=虫歯」が原因と考える方が非常に多く、いろいろご相談を受けます。しかし虫歯でなくても冷たいものがしみることがあります。虫歯ではないのに歯がしみるのはなぜか、原因や対処法についてご説明します。
目次
虫歯以外の、歯がしみる4つの原因
- ①歯ぎしりによる歯の磨り減り(咬耗)
- 歯の厚みにも個人差があります。元々の歯質自体が薄い場合、神経との距離が物理的に短いため、様々な刺激を他の方よりも敏感に感じ取る場合があります。
- ②歯と歯茎の境付近の歯の削れ(楔状欠損)
- 歯ぎしりや過度な歯磨きにより歯茎近くの歯がえぐれるように削れてくることがあります。歯の痛みを感じる構造(象牙細管)が露出している状態で、冷たいもの以外にも擦る・押すなど様々な刺激をしみると感じてしまいます。
- ③元々の歯質が薄い
- 歯の厚みにも個人差があります。元々の歯質自体が薄い場合、神経との距離が物理的に短いため、様々な刺激を他の方よりも敏感に感じ取る場合があります。
- ④歯のひび割れ
- 歯ぎしりや食いしばりなど過度な外力によって歯にひびが入ることがあります。ひびの大きさにより冷たいものの刺激が伝わりやすくなるためしみることがあります。エナメル質内のひびで留まっていれば経過観察ということになりますが、歯自体が割れてしまっている場合は最悪歯を抜かなければならない事に・・・。
歯ぎしり・食いしばりの癖がある場合の対処法
〈歯ぎしり〉や〈食いしばり〉などの影響が大きいものである場合は、まずそれらを何とかしなくてはなりません。
歯ぎしり・食いしばりには様々な原因があり、それ自体をなくすことはやや困難です。しかし、「マウスピース(ナイトガード)」を作成することで、これ以上歯が削れたり割れたりしないよう予防することができます。歯がなるべくダメージを受けないように、早めに歯科医師に相談してみましょう。
歯がすでに削れてしまっている場合
歯と歯茎の境が削れてしまっている場合(楔状欠損)は、そこに樹脂の詰め物(CR充填)をすることで刺激の伝わりを遮断し、しみにくくすることは可能です。ただし〈歯ぎしり〉や〈過度なブラッシング〉を続けていると、詰めた物が取れやすいため歯が削れた原因に対する対応も必要になります。
歯が磨り減っている部分(咬耗)に関しては、そうなってしまった原因が多々考えられるため、しみ止めの薬剤を塗布したり、マウスピースを作成するなどの対症療法を行いつつ、根気よく原因を探していく必要があります。
一部の詰め物・被せ物が合わない、歯周病・口腔以外の病気などなど原因が多岐にわたるため、まずは歯科医院で噛み合わせや詰め物の状況を確認してもらいましょう。
もともとの歯が薄い場合
この場合は何かトラブルや異常があるわけではないため、積極的な処置は必要ありません。 冷たいものを食べる際は痛みを感じないよう工夫しましょう。例えば、スプーンですくって食べるタイプのものや、舌を使って食べるソフトクリームなどを選ぶようにしたり、直接歯でかじる食べ方を避けることがおすすめです。
また、加齢変化により歯質(象牙質)は内側に徐々に厚くなっていきます。歯の中央にある神経(歯髄)は外界からの刺激に対して象牙質を継続的に作り出しますが、歯髄の占める割合が小さくなるのと同時に象牙質が内側に添加されて厚くなっていきます。
それに伴い、冷たいものがしみる感覚も薄れてくる方が多いです。
冷たいものが歯にしみる〈知覚過敏〉にはさまざまな原因があり、なかなかご自身では対応しにくいかもしれません。原因がわからないと不安に思うこともありますが、まずは気軽に歯科医院で相談してみましょう!
監修歯科医師
・ 末光妙子 日本大学松戸歯学部付属病院勤務後、一般歯科医院に勤務。虫歯の診療を続ける中で、大切な歯を守るためには予防歯科の普及と、より気軽に歯医者に通うことができる環境が必要と考え、ホワイトニング専門医師として活動を始める。2011年、虫歯予防の効果も得られるホワイトニングの普及のため、専門医院ミュゼホワイトニングの立ち上げに携わり、現在は同歯科医院を運営する医療法人の理事長を務める。
- 所属
- (恵比寿駅前デンタルクリニック・池袋駅前デンタルクリニック)
- 著書
- 『小顔音読~歯科医師が教える、魔法の早口ことば』
- 活動
- 歯科医院向けホワイトニング知識/技術研修の講師・大手企業での口元セミナー・地球こどもサミットや子どもお口電話相談等イベント出演など・8020運動をテーマとした予防歯科イベントの開催・歯科衛生士の接遇スキル・審美歯科の技術向上を目的とした歯科衛生士学校との教育提携・歯科フリーペーパー『FEEDNOTE』で歯科衛生士活躍をテーマにした執筆活動・オーラルケアアイテムの企画/開発/販売 他
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