「口呼吸」はどうしてダメなの?
健康や美容への影響、対処法が知りたい!
- お口の健康
2019-10-12
執筆:医療法人財団匡仁会理事長 - 末光妙子
実はとっても大事!「呼吸」の仕方
マスク生活が長引き、風邪や花粉症が気になるこの季節、ついついお口で息をしていませんか?
「呼吸の仕方なんか気にした事がない」という方も多いと思いますが、理由はともかく「鼻で呼吸したほうが良いらしい」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
そうは言っても、口呼吸が自然と癖になっている場合「よし!鼻で呼吸しよう!」とまでは思わないかもしれません。
しかし、「口呼吸」による身体への影響は決して小さくありません。口内環境はもちろん、体全体の健康から美容にも大きく影響する場合があります。
新型コロナウイルスの流行をきっかけに、感染症に対する意識もぐんと高まった昨今ですが、もちろん呼吸の仕方も無関係とは言えません。
ここで今一度、「口呼吸」による健康美容への影響や、口呼吸対策について、歯科医師の観点からお話させていただきたいと思います。
目次
「鼻呼吸」は良くて「口呼吸」がダメなのはなぜ?
「口呼吸」による弊害とは、一体どのようなものなのでしょうか?
- ①虫歯や歯周病になりやすい
- ②口臭の原因になる
- ③歯並びが悪くなる
- ④風邪やアレルギーになりやすい
- ⑤老化を促進する
口呼吸は、虫歯・歯周病、口臭の原因になる
お口の中の「唾液」には、口腔内の細菌をやっつけたり、汚れを洗い流したりするなどの様々な働きがあります。
口内には唾液が常に出ている状態が正常ですが、常に口呼吸をしていると、お口の中は乾燥し、唾液がうまくまわらなくなってしまいます。この状態では虫歯や歯周病の原因菌も繁殖し放題になってしまいます。
また、お口の中が乾燥すると、歯に汚れがつきやすくなることにより、歯の黄ばみの原因となります。
「歯のホワイトニングをした後に色戻りが早い」という方は、もしかしたらお口が乾燥しやすいことが原因かもしれません!
口呼吸だと、歯並びにも悪影響
歯並びは〈内側からの舌による圧力〉と〈外側からの唇や頬の筋肉からの圧力〉の均衡が取れる位置に自然に並ぶようになっています。
慢性的に口呼吸の状態が続くと、唇や頬の筋肉による〈外側からの圧力〉がかからない為、出っ歯や受け口などの原因になってしまうこともあります。
特にお子様の場合は、骨格にも影響が出やすいため注意が必要です。
口呼吸だと、風邪や感染症・アレルギーになりやすい
鼻から呼吸する「鼻呼吸」の場合、外気を取り込む際に一緒に入ってきた細菌やウイルスなどを排除する機構が備わっているため、風邪をひきにくかったり、ウイルスに感染しにくいという特徴があります。
また、鼻呼吸の場合は冷たく乾いた空気を吸い込んでも「副鼻腔」の働きにより、加温・加湿された状態で気道に空気を届けるなどの機能も働きます。
一方、口には鼻のような外気に対する機能が備わっていないため、直接細菌やウイルス、塵などを取り込んでしまうことになるのです。
衝撃!口呼吸は、老化を促進する
口呼吸の場合、お口周りの筋肉が常に緩んだ状態となります。使わない筋肉はだんだん衰えてきますが、お口周りの筋肉(口輪筋)が緩むと、周囲の表情筋も緩み、それが皮膚の緩みにも繋がっていきます。
この表情金からの皮膚の緩みは、目元や口元の皺の原因になってしまいます。また、「口輪筋」が緩むと、リップラインがぼやけて口紅のにじみの原因にもなります。
そのほかにも、口呼吸の場合は「舌の位置を固定する筋肉」も衰えるため、二重あごやいびきの原因にもなってきます。
あなたは「口呼吸」or「鼻呼吸」?
自分がきちんと鼻呼吸ができているのかどうかは、とくに意識したことがなければあまりよくわからないかもしれません。
今回、改めて気になってきたという方は、ぜひ下記の項目をチェックしてみてください。
①唇が乾燥しやすい
②上下の唇の厚さに差があり、下唇のほうが厚い
③上唇が富士山型
④意識しないでいると口が開いている
⑤唇を閉じようとするとあごのところに力が入り”梅干し”ができる
⑥口がへの字口
⑦鼻の穴を意識して動かす事ができない
⑧よくいびきをかいている
⑨鼻炎持ち
もし1つでも当てはまったら、要注意です。
口呼吸は、どうしたら治るの?
ここまで読んで「口呼吸は絶対治したい!」と思った方も多いのではないでしょうか?
原因によって治す方法も変わって来ます。
そもそも鼻が詰まっていて鼻呼吸ができないという方は、まずは耳鼻科でしっかり鼻づまりの根本から治療しましょう。
また、一時的に鼻が詰まるという方は、鼻粘膜の血流が悪くなっていると考えられます。鼻を暖めることによって血行が促進され、簡単に鼻づまりが解消される事が多いです。
鼻で呼吸してみて、難なく呼吸ができる方
この場合は単にお口周囲の筋肉が緩み、口呼吸が癖になっている方です。この場合は意識して鼻で呼吸するように努力したり、テープなどで上下の唇を止め、機械的に上下の唇を閉じ、筋肉を鍛えていくという方法で改善できます。最近では口呼吸の予防グッズなども販売されていますので、そういったものを利用するのもオススメです。
自分がどのタイプかを把握できたら、それぞれ適した方法で、鼻呼吸にトライしてみてください。
監修歯科医師
医療法人財団匡仁会 理事長・歯科医師 末光妙子 日本大学松戸歯学部付属病院勤務後、一般歯科医院に勤務。虫歯の診療を続ける中で、大切な歯を守るためには予防歯科の普及と、より気軽に歯医者に通うことができる環境が必要と考え、ホワイトニング専門医師として活動を始める。2011年、虫歯予防の効果も得られるホワイトニングの普及のため、専門医院ミュゼホワイトニングの立ち上げに携わり、現在は同歯科医院を運営する医療法人の理事長を務める。
- 所属
- 医療法人財団匡仁会(恵比寿駅前デンタルクリニック・池袋駅前デンタルクリニック)
- 著書
- 『小顔音読~歯科医師が教える、魔法の早口ことば』
- 活動
- 歯科医院向けホワイトニング知識/技術研修の講師・大手企業での口元セミナー・地球こどもサミットや子どもお口電話相談等イベント出演など・8020運動をテーマとした予防歯科イベントの開催・歯科衛生士の接遇スキル・審美歯科の技術向上を目的とした歯科衛生士学校との教育提携・歯科フリーペーパー『FEEDNOTE』で歯科衛生士活躍をテーマにした執筆活動・オーラルケアアイテムの企画/開発/販売 他
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