レジンアレルギーって何?歯科治療にも関係
原因や予防、対処法が知りたい!
- トラブル
2019-10-12
執筆:医療法人財団匡仁会理事長 - 末光妙子
歯科治療にも関係のあるレジンアレルギーとは
「レジン」というものをご存知でしょうか?日本語に言い換えると「樹脂」です。天然の物ですと、樹から分泌される松ヤニや漆などが有名です。 一方、合成樹脂と呼ばれる物ですと、ネイルやアクセサリーの作成などにも利用されることが多く、100円ショップにも作成キットが置かれていたりしていますので、女性を中心にご存知の方も多いかもしれません。 近年のハンドメイドブームに伴い、「レジン」と言う言葉を世間一般でも聞くことが多くなってきましたが、歯科会では〈歯の詰め物〉や〈かぶせ物〉・かぶせ物をくっつける〈接着剤〉や〈入れ歯〉など、様々なものに使用されており、以前からなじみのあるものです。 そんな歯科では重宝されているレジンですが、最近レジンのアレルギー報告が増加しているようなので、簡単にまとめてみたいと思います。
目次
どうしてレジンアレルギーが増加しているの?
レジンのアレルギーが初めて報告されたのは1941年。 原因としては、固まるのが不十分だった部分(未重合部分)から化学物質が流れ出し、それがアレルギーを引き起こすというものでした。それからは様々な研究や開発が行われ、日本ではレジンのアレルギー報告もほとんどなくなっていました。 そんなレジンのアレルギーがここ最近で急に増加したのは、ジェルネイルやアクリルネイル、またレジンを使用してのアクセサリーなどの作成を自宅などで気軽にできるようになり、レジンに接触する機会が増えたからではないかといわれています。 アレルギーのメカニズムは子どもと大人で大きく異なり、大人になってから発症するものは、今までなんとも無かったのに突然アレルギーになるというちょっと厄介なものになります。
これってレジンアレルギー?
アレルギー症状の出方には様々あり、当たっているところが赤くなったり腫れたり、かゆくなったり涙や咳、鼻水が止まらなかったり・・・。重篤な場合(アナフィラキシー)は死に至る事もあります。また、すぐ症状が出るとも限らず、接触して数日立ってから症状が出るということもあります。 アレルギー症状が出た場合、原因の特定とその対策がその後の課題となりますが、原因物質がレジン(歯科材料)の場合、皮膚科や耳鼻科では特定が難しいこともあります。この場合は歯科大学付属の病院での検査をおすすめします。
レジンアレルギーになった!どうしたら良いの?
レジンアレルギーになってしまった場合、原因を取り除いていかなくてはなりません。 歯科の場合、詰め物やかぶせ物を取り除いたあとの部分にはセメントやセラミックを替わりに入れていくことになります。ただ、先に少し書いてありますが、未重合部分から出てくる化学物質が原因になっているため、しっかり重合していて周囲に症状(発赤や糜爛など)が無いものは無理に取り除く必要はありません。原因になっていそうなものから取り除き、症状が落ち着くかどうかを見ながら処置していきます。
アレルギーは嫌だけどネイルやアクセサリー作りは続けたい!
せっかく道具を揃えてネイルやアクセサリー制作を楽しんでいたとしたら、諦めるのは辛いですよね。 基本的に、レジンのアレルギーは固まる前の状態が原因になっています。したがって、レジンが完全に固まるまでは、換気をしっかり行い、触らないように注意することが重要です。 また、固まったと思っても空気に触れている部分は固まりにくいという特徴がありますので、表面をしっかり洗浄や拭き上げを行うことに気をつけてみてください。
歯のホワイトニングで使用するレジン
歯のホワイトニングの際に使用する〈歯茎の保護剤〉はレジン系材料です。ただし、レジンにアレルギーのある方は別の方法での歯茎保護でホワイトニングを行うこともできます。こういった対応を的確に行うためには、カウンセリングや問診票の回答が役に立ちます。問診表などのアレルギーの項目はきちんと書き込んでくださいね。
監修歯科医師
医療法人財団匡仁会 理事長・歯科医師 末光妙子 日本大学松戸歯学部付属病院勤務後、一般歯科医院に勤務。虫歯の診療を続ける中で、大切な歯を守るためには予防歯科の普及と、より気軽に歯医者に通うことができる環境が必要と考え、ホワイトニング専門医師として活動を始める。2011年、虫歯予防の効果も得られるホワイトニングの普及のため、専門医院ミュゼホワイトニングの立ち上げに携わり、現在は同歯科医院を運営する医療法人の理事長を務める。
- 所属
- 医療法人財団匡仁会(恵比寿駅前デンタルクリニック・池袋駅前デンタルクリニック)
- 著書
- 『小顔音読~歯科医師が教える、魔法の早口ことば』
- 活動
- 歯科医院向けホワイトニング知識/技術研修の講師・大手企業での口元セミナー・地球こどもサミットや子どもお口電話相談等イベント出演など・8020運動をテーマとした予防歯科イベントの開催・歯科衛生士の接遇スキル・審美歯科の技術向上を目的とした歯科衛生士学校との教育提携・歯科フリーペーパー『FEEDNOTE』で歯科衛生士活躍をテーマにした執筆活動・オーラルケアアイテムの企画/開発/販売 他
お役立ち歯科コラム 記事一覧
- 歯のホワイトニング(種類・特徴・料金など)わかりやすく徹底解説
- セルフホワイトニングと歯科医院の施術の違いって?
- 歯の着色汚れを除去するには?
- ホワイトニングで後悔するって本当?
- 歯の本来の色って何?
- 歯がグレー・縞模様になるテトラサイクリン歯
- 歯にできるシミ「ホワイトスポットとブラウンスポット」とは
- 神経の治療をした歯の「変色」って?
- ホームホワイトニングの費用対効果
- ホワイトニング⻭磨き粉の効果
- セルフホワイトニングの効果は?歯科医院との違いやメリット・デメリットも紹介
- 歯のホワイトニングとはどんなもの?方法や回数・期間・料金の目安を紹介
- オフィスホワイトニングとは?メリット・デメリットを徹底解説
- 自宅でできるホワイトニングとは?種類と特徴を解説
- 歯を白くするにはどうすればいい?6つの方法を紹介
- ホワイトニングの値段を知りたい!料金相場はどれくらい?
- ホワイトニングの効果が得られる回数・期間は?
- 歯の黄ばみはなぜ起きる?
- 歯列矯正中にホワイトニングをすることは可能?
- ホワイトニング施術はしない方がいい?
- よく聞く「プラーク(歯垢)」って何のこと?
- 歯石って何?予防法や取るタイミング
- 冷たいもので歯がしみる原因
- 歯の「被せ物」保険治療or自費治療
- 歯周病とは?基礎知識と予防・治療方法を身につけよう
- 国民皆歯科健診とはどんな制度?
- 健康寿命を伸ばす秘訣は口元にアリ!ホワイトニングがもたらす健康効果